Webサイトやアプリを設計する際に「ユーザビリティ」と「アクセシビリティ」という言葉を耳にする機会が増えています。どちらも「使いやすさ」に関連する概念として認識されていますが、実際にはそれぞれ異なる目的と対象を持っています。ユーザビリティは特定のターゲットユーザーにとっての使いやすさを追求するものであり、アクセシビリティはより幅広い人々がサービスを利用できる状態を目指すものです。両者の違いを正しく理解することは、誰もが快適に使えるデジタルサービスを提供するための第一歩となります。本記事では、ユーザビリティとアクセシビリティの定義から、UI/UXとの関係性、そして具体的な改善方法まで、体系的に解説していきます。
- ユーザビリティとアクセシビリティの明確な定義と違い
ユーザビリティは特定ユーザーの効率性、アクセシビリティは利用可能な人の範囲を広げることを重視します
- UI/UXとの関係性と相互作用
UIはユーザーとの接点、UXは総合的な体験であり、両概念はその構成要素として機能します
- 実践的な改善方法とチェックポイント
WCAGガイドラインやISO規格に基づいた具体的な評価基準と改善手順を活用できます
ユーザビリティの定義
ユーザビリティとは、特定のユーザーが特定の目的を達成する際の「使いやすさ」を示す概念です。国際標準化機構(ISO)が定めるISO 9241-11では、ユーザビリティを「特定のユーザーが特定の利用状況において、特定の目標を達成するために用いる際の有効さ、効率、満足度の度合い」と定義しています。
この定義からわかるように、ユーザビリティは「誰が」「どのような状況で」「何を達成しようとしているか」という文脈に依存します。同じWebサイトであっても、ターゲットユーザーや利用シーンによって、求められるユーザビリティの基準は異なってきます。
ISO規格による定義
ISO 9241-11の定義では、ユーザビリティを構成する3つの要素として「有効さ」「効率」「満足度」が挙げられています。有効さとは、ユーザーが目標を正確かつ完全に達成できるかどうかを指します。効率は、目標達成のために費やされる時間や労力の少なさを意味します。
満足度は、システムを使用した際のユーザーの主観的な快適さや受容度を表します。これら3つの要素がバランスよく満たされることで、高いユーザビリティが実現されると考えられています。
ユーザビリティの5要素
ユーザビリティ研究の第一人者であるヤコブ・ニールセン氏は、ユーザビリティを評価するための5つの要素を提唱しています。この5要素は実務において広く活用されている指標となっています。
| 要素 | 内容 | 評価ポイント |
|---|---|---|
| 学習しやすさ | 初めて使うユーザーが基本的な操作を習得できる容易さ | 初回利用時のタスク完了率 |
| 効率性 | 操作を習得した後のタスク達成スピード | 操作回数、所要時間 |
| 記憶しやすさ | 一定期間使用しなかった後でも操作を思い出せる容易さ | 再利用時の習熟度維持 |
| エラーの少なさ | ユーザーが犯すエラーの頻度と回復のしやすさ | エラー発生率、回復時間 |
| 主観的満足度 | 使用時の快適さや楽しさ | ユーザーアンケート結果 |
これらの要素を総合的に評価することで、サービスのユーザビリティレベルを客観的に把握することが可能になります。
ユーザビリティの評価方法
ユーザビリティを評価する方法は大きく分けて「専門家評価」と「ユーザーテスト」の2種類があります。専門家評価では、ヒューリスティック評価や認知的ウォークスルーなどの手法が用いられます。
ユーザーテストでは、実際のターゲットユーザーにサービスを使用してもらい、行動観察やインタビューを通じて問題点を発見します。両方の手法を組み合わせることで、より精度の高い評価が可能となります。

ユーザビリティは「誰にとっての使いやすさか」を明確にすることが出発点です。ターゲットユーザーを具体的にイメージしながら設計を進めましょう。

アクセシビリティの定義
アクセシビリティとは、年齢や障害の有無、使用環境に関わらず、できるだけ多くの人がサービスを利用できる状態を指します。「アクセスできること」という言葉の通り、利用可能な人の範囲を広げることに焦点を当てた概念です。
Webアクセシビリティの分野では、視覚障害や聴覚障害、運動機能障害、認知障害などを持つユーザーも含めて、すべての人がWebコンテンツを利用できるようにすることが目標とされています。これは単なる配慮ではなく、情報社会における基本的な権利の保障という側面も持っています。
WCAGガイドライン
Webアクセシビリティの国際的な基準として、W3C(World Wide Web Consortium)が策定したWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)があります。現在はWCAG 2.1が広く参照されており、2023年にはWCAG 2.2も公開されています。
WCAGでは「知覚可能」「操作可能」「理解可能」「堅牢」という4つの原則に基づいて、具体的な達成基準が定められています。これらの達成基準にはA、AA、AAAの3段階のレベルがあり、レベルAが最低限必要な基準、レベルAAが一般的に推奨される基準とされています。
アクセシビリティの4原則
WCAGの4原則は、アクセシビリティを考える上での基本的な指針となっています。それぞれの原則が何を意味するかを理解することが、実践的な改善につながります。
| 原則 | 説明 | 具体例 |
|---|---|---|
| 知覚可能 | 情報やUIコンポーネントを知覚できる方法で提示 | 画像への代替テキスト、動画への字幕 |
| 操作可能 | UIコンポーネントやナビゲーションを操作できる | キーボード操作対応、十分な操作時間 |
| 理解可能 | 情報とUIの操作が理解できる | 一貫したナビゲーション、エラーの説明 |
| 堅牢 | 様々な支援技術で解釈できる | 適切なマークアップ、互換性の確保 |
これらの原則に沿った設計を行うことで、支援技術(スクリーンリーダーなど)を使用するユーザーも含めて、幅広い人々がコンテンツにアクセスできるようになります。
日本の法制度との関係
日本では2024年4月に改正障害者差別解消法が施行され、民間事業者にも「合理的配慮の提供」が義務化されました。これに伴い、Webアクセシビリティへの対応の重要性が高まっています。
JIS X 8341-3(高齢者・障害者等配慮設計指針)は、日本におけるWebアクセシビリティの規格として参照されており、WCAGとの整合性も保たれています。公的機関のWebサイトでは、この規格への適合が求められる場面が増えています。

アクセシビリティは「使える人を増やす」という発想がポイントです。法制度の変化もあり、今後ますます重要性が増していく分野でしょう。
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ユーザビリティとアクセシビリティの違い
ユーザビリティとアクセシビリティは、どちらも「使いやすさ」に関連する概念ですが、その焦点と目的には明確な違いがあります。両者の違いを正しく理解することで、サービス設計において適切なバランスを取ることができます。
簡潔に言えば、アクセシビリティは「利用できるかどうか」という参入障壁を下げることに主眼を置き、ユーザビリティは「利用できる人にとってどれだけ使いやすいか」という品質を高めることに主眼を置いています。
対象ユーザーの違い
ユーザビリティは特定のターゲットユーザーを想定し、そのユーザー層にとっての使いやすさを追求します。例えば、30代のビジネスパーソン向けのサービスであれば、その層の行動特性や利用環境に最適化することがユーザビリティ向上につながります。
一方、アクセシビリティは特定のユーザー層に限定せず、障害を持つ人や高齢者、一時的な制約がある人など、できるだけ多くの人がサービスを利用できることを目指します。
評価基準の違い
評価の観点においても、ユーザビリティとアクセシビリティには違いがあります。以下の表で主な違いを整理します。
| 観点 | ユーザビリティ | アクセシビリティ |
|---|---|---|
| 主な目的 | 使いやすさの向上 | 利用可能性の確保 |
| 対象ユーザー | 特定のターゲット層 | すべての人 |
| 評価指標 | 効率、満足度、エラー率 | 達成基準への適合度 |
| 基準の性質 | 相対的(競合比較など) | 絶対的(ガイドライン準拠) |
ユーザビリティは相対的な評価になりやすい一方、アクセシビリティはWCAGなどの明確な基準に基づいて適合・不適合を判断できるという特徴があります。
相互補完の関係
ユーザビリティとアクセシビリティは対立する概念ではなく、相互に補完し合う関係にあります。アクセシビリティが確保されていなければ、そもそもサービスを利用できないユーザーが存在することになり、そのユーザーにとってのユーザビリティは成立しません。
アクセシビリティはユーザビリティの前提条件であり、両者を同時に高めていくことで、より多くの人にとって使いやすいサービスが実現できます。
ユーザビリティとアクセシビリティの関係を整理すると以下のようになります。
- アクセシビリティは「入り口」を広げる役割を担う
- ユーザビリティは「体験の質」を高める役割を担う
- 両方を意識することで、より良いサービスが生まれる

両者は「どちらか一方」ではなく「両方とも」追求すべきものです。アクセシビリティを土台として、その上にユーザビリティを積み上げていくイメージで捉えてみてください。
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UI/UXとの関係性
ユーザビリティとアクセシビリティを考える上で、UIとUXという概念との関係を理解することも重要です。これらは密接に関連しながらも、それぞれ異なる役割を持っています。
UIはUser Interfaceの略で、ユーザーとサービスの接点となる部分を指します。UXはUser Experienceの略で、サービスを通じてユーザーが得る総合的な体験を意味します。ユーザビリティとアクセシビリティは、良いUI/UXを実現するための重要な構成要素として位置づけられます。
UIとの関係
UIはユーザーが実際に目にし、操作する部分すべてを含みます。ボタンの配置、文字のサイズ、色の使い方、フォームの設計など、視覚的・操作的な要素がUIに該当します。
ユーザビリティの高いUIは直感的で操作しやすく、アクセシビリティの高いUIは多様なユーザーや支援技術からアクセスできる設計となっています。UIの設計段階で両方の観点を取り入れることが、質の高いインターフェースにつながります。
UXとの関係
UXはUIよりも広い概念で、サービスとの出会いから利用後の印象まで、ユーザーの体験全体を包含します。サービスの認知、導入、利用、サポート、離脱といった一連の流れすべてがUXの対象となります。
優れたUXを提供するためには、各タッチポイントでユーザビリティとアクセシビリティが確保されている必要があります。どれだけ魅力的なサービスでも、利用できない人がいたり、使いにくかったりすれば、良いUXとは言えません。
4つの概念の階層構造
UI、UX、ユーザビリティ、アクセシビリティの4つの概念は、以下のような階層構造で捉えることができます。
4つの概念の関係性を理解するためのポイントです。
- UXが最も包括的な概念で、ユーザー体験全体を指す
- UIはUXを構成する具体的なインターフェース部分
- ユーザビリティはUIの使いやすさを評価する尺度
- アクセシビリティはUIへのアクセス可能性を評価する尺度
これらの概念を個別に扱うのではなく、相互の関係性を意識しながら設計を進めることで、バランスの取れたサービスを構築できます。

UI/UXという言葉が先行しがちですが、その中身を分解するとユーザビリティとアクセシビリティが見えてきます。全体像を把握することで、改善の方向性が明確になるでしょう。
ユーザビリティの改善方法
ユーザビリティを改善するためには、現状の課題を把握し、優先順位をつけて対応していくことが重要です。ここでは、実践的な改善方法とチェックポイントを紹介します。
改善に取り組む際は、推測ではなく実際のユーザー行動やフィードバックに基づいて課題を特定することが効果的です。データドリブンなアプローチが、限られたリソースの中で最大の効果を生み出します。
ユーザビリティテスト
ユーザビリティテストは、実際のターゲットユーザーにサービスを使用してもらい、観察とヒアリングを通じて問題点を発見する手法です。5人程度のユーザーでも、主要な問題の80%程度は発見できると言われています。
テストを実施する際は、具体的なタスク(商品を購入する、会員登録するなど)を設定し、ユーザーがどのように行動するかを観察することがポイントです。声に出して考えを話してもらう「思考発話法」を用いると、より深い洞察が得られます。
ヒューリスティック評価
ヒューリスティック評価は、専門家がガイドラインや経験則に基づいてインターフェースを評価する手法です。ニールセンの10ヒューリスティックスがよく使用される評価基準として知られています。
ニールセンの10ヒューリスティックスの主な項目は以下の通りです。
- システム状態の可視化
- 現実世界との一致
- ユーザーの制御と自由
- 一貫性と標準化
- エラーの予防
- 記憶より認識
- 柔軟性と効率性
- 美的で最小限のデザイン
この評価手法は、ユーザーテストと比べて低コストで実施でき、開発の早い段階で問題を発見できるというメリットがあります。
改善の優先順位づけ
発見された課題すべてに同時に対応することは現実的ではありません。影響度と実装コストのバランスを考慮して、優先順位をつけることが重要です。
多くのユーザーに影響し、かつタスク達成を妨げる重大な問題から優先的に対応していくことで、効率的な改善が可能になります。改善後は効果測定を行い、PDCAサイクルを回していくことも忘れてはなりません。

ユーザビリティ改善は一度やって終わりではなく、継続的な取り組みが大切です。小さな改善を積み重ねることで、サービス全体の質が向上していきますよ。
アクセシビリティの改善方法
アクセシビリティの改善は、WCAGなどのガイドラインに沿って体系的に進めることが効果的です。技術的な対応と、組織としての取り組みの両面から考える必要があります。
まずは現状のアクセシビリティレベルを把握し、目標とする達成レベルを設定した上で、計画的に改善を進めていくことが推奨されます。
現状把握の方法
アクセシビリティの現状を把握するためには、自動チェックツールと手動チェックの両方を活用することが有効です。自動チェックツールとしては、WAVE、axe、Lighthouse などがよく使用されています。
ただし、自動チェックで検出できる問題は全体の30%程度と言われており、キーボード操作の確認やスクリーンリーダーでの読み上げ確認など、手動チェックも欠かせません。
技術的な対応ポイント
Webサイトのアクセシビリティを向上させるための技術的なポイントを以下にまとめます。
| 対応項目 | 具体的な内容 | 対応の難易度 |
|---|---|---|
| 代替テキスト | すべての画像にalt属性を適切に設定 | 低 |
| 見出し構造 | h1からh6を順序通りに使用 | 低 |
| キーボード操作 | すべての機能をキーボードのみで操作可能に | 中 |
| 色のコントラスト | 文字と背景のコントラスト比4.5:1以上 | 中 |
| フォーム | ラベルとフォーム要素の関連づけ | 低 |
これらの対応は、新規開発時に最初から考慮しておくことで、後からの改修コストを大幅に削減できます。
組織的な取り組み
アクセシビリティの改善を継続的に行うためには、組織としての方針策定とプロセスの整備が重要です。担当者個人の努力だけでは、長期的な品質維持は困難です。
組織的なアクセシビリティ対応のチェックポイントです。
- アクセシビリティ方針の策定と公開
- デザイン・開発ガイドラインへの組み込み
- 定期的な検証と改善サイクルの確立
- 担当者への教育・研修の実施
アクセシビリティへの対応は、法的リスクの低減だけでなく、SEOの向上や潜在的なユーザー層の拡大にもつながるため、ビジネス上のメリットも大きいと言えます。

アクセシビリティ対応は「やるべきこと」から「当たり前のこと」へと変わりつつあります。できるところから少しずつ始めることが大切でしょう。
よくある質問
- ユーザビリティとアクセシビリティは同じ意味ではないのですか
-
両者は関連していますが異なる概念です。ユーザビリティは特定のターゲットユーザーにとっての使いやすさを指し、アクセシビリティは障害の有無に関わらず多くの人がサービスを利用できる状態を指します。アクセシビリティが確保されていることがユーザビリティの前提条件となります。
- アクセシビリティ対応は法的に義務化されているのですか
-
日本では2024年4月の改正障害者差別解消法施行により、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されました。Webアクセシビリティへの具体的な対応方法は明示されていませんが、JIS X 8341-3やWCAGに準拠した対応を行うことが推奨されています。
- 小規模なサイトでもアクセシビリティ対応は必要ですか
-
サイトの規模に関わらず、アクセシビリティへの配慮は重要です。基本的な対応(代替テキストの設定、適切な見出し構造、キーボード操作対応など)は大きなコストをかけずに実施できます。できる範囲から始めて、段階的に対応を広げていくアプローチが現実的です。
- ユーザビリティとアクセシビリティのどちらを優先すべきですか
-
どちらかを優先するという考え方ではなく、両方を同時に追求することが重要です。アクセシビリティは「利用できること」、ユーザビリティは「使いやすいこと」を目指すものであり、両者を満たすことで真に良いサービスとなります。設計段階から両方の観点を取り入れることで、効率的な対応が可能です。
まとめ
ユーザビリティとアクセシビリティは、どちらもサービスの品質を高めるために欠かせない概念です。ユーザビリティは特定のターゲットユーザーにとっての使いやすさを追求し、アクセシビリティはより多くの人がサービスを利用できる状態を目指します。
両者は対立するものではなく、相互に補完し合う関係にあります。アクセシビリティを土台として確保した上で、ユーザビリティを高めていくことで、誰もが快適に使えるサービスが実現できます。UI/UXの設計においては、この両面からの視点を常に持ち続けることが大切です。
改善に取り組む際は、現状把握から始め、優先順位をつけて段階的に対応を進めていくことが効果的です。法制度の変化もあり、アクセシビリティ対応の重要性は今後さらに高まっていくと考えられます。本記事で紹介した内容を参考に、ユーザビリティとアクセシビリティの両面からサービスの改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。

